令和7年5月30日
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税務上問題となりやすい事項~販管費等~
コロナ禍で延期・縮小されていた調査が、正常化に向かう流れで再開されているようです。企業の財務状況が変化していることもあり、税務当局がより慎重にチェックしている可能性があります。今回は、販管費等で税務上問題となりやすい事項をお伝えします。
〇販管費等の主なチェックポイント
科目 | 支出内容(税務上問題となりやすい事項) | 税務上の扱い |
福利厚生費 | 特定の者のみ対象とした支出(機会均等ではない) | 給与等 |
低額の資産譲渡・役務提供がある場合(現物給与) | 給与等 | |
通常要する費用でない支出(高額) | 給与等 | |
支払手数料 | 一定の基準に基づかない、適正価格ではない | 交際費 |
資産購入に直接要した支出 | 各資産勘定 | |
会議費 | 会議実態なし、通常要する費用でない支出(高額) | 交際費 |
交際費 | 個人的な支出 | 給与等 |
保険料 | 決算期内の対応部分ではない支出(法基通2-2-14除く) | 前払費用 |
積立金として資産計上すべき支出 | 保険積立金 | |
修繕費 | 資本的支出として資産の取得とみなされるもの | 各資産勘定 |
雑費 | 上記各科目と同一若しくは類する内容の支出 | 上記と同じ |
・税務上、給与等とされた場合、所得税が非課税とされるもの以外は源泉所得税の対象となります。加えて、役員に対するもので定期同額給与に該当しなければ、特定月の増額支給(役員賞与)の扱いとなり損金不算入となります。
・税務調査において、販管費は、前年度(若しくは前々年度)との比較で金額が増加している科目は確認すべき事項とされます。
・例えば人件費は、決算書より人件費の総額、勘定科目明細で役員の各人別金額と従業員等の総額、事業概況書で社員数、所得税徴収高計算書で給与額と人数が、調査官の手元にデータとしてあります。決算書による前年度比較で増減等に疑問点がある場合は、これらの資料との組合せで矛盾点がないかを事前に調べることができます。会社の利益が想定以上に見込まれる場合、家族名義・他人名義を利用して安易に経費(損金)計上することもありますので、注視します。
・また、福利厚生費では給与等(現物給与)に、会議費や広告宣伝費、支払手数料では交際費に該当するものがないか、支払手数料は、他に資産(特に不動産)の取得に直接要したものであれば資産計上されているか等も重要なところです。修繕費の増加は、資本的支出として資産計上へ振り替えるべきものがないか、保険料で前払費用(期間対応)にすべきもの、若しくは保険積立金勘定に計上すべきものはないかもポイントとなります。
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