令和2年9月11日
本サイトの情報は、正確であるよう努めておりますが、万が一、情報が不正確であったことによる損害について、一切の責任を負いかねます。
消費税インボイス方式の概要について
令和元年10月1日に消費税率が10%に改正され間もなく1年が経過しようとしています。軽減税率の管理、区分記載請求書の整備に苦労をされた課税事業者の方々も多かったと思いますが、この流れを引き継いで、令和5年10月1日からは「適格請求書保存方式」(以下、インボイス方式と記載します)が導入予定となっています。今回は、このインボイス方式の概要について簡単にご説明いたします。
①インボイス方式とは?
帳簿方式と異なり、「請求書」を課税の証拠書類とすることで、販売側と仕入側での一貫性を保ち、課税の適切性を担保するために考案された方式です。
②なぜ、インボイス方式に変更されるのか?
インボイス方式では、「適格請求書発行事業者」として登録された事業者のみ、インボイス番号の記載の適格請求書の発行が認められます。この適格請求書を仕入側が受取り、保存することで仕入税額控除が可能となります。
また、適格請求書発行事業者の登録は、消費税の課税事業者でなければ受けられないこととなっています。すなわち、免税事業者に関しては適格請求書発行事業者の登録が受けられず適格請求書が発行できないため、免税事業者から仕入を行った場合には仕入税額控除が出来ないこととなります。長年、免税事業者が受け取った消費税(益税)が国へ納付されないことが問題視されており、それを解消するために国側が強行策を打ち出してきた形です。
③今後の動向
適格請求書発行事業者の登録申請は、令和3年10月1日から開始される予定です。
なお、免税事業者からの仕入については経過措置が設けられており、令和5年10月1日から令和8年9月30日までは仕入税額相当額の80%分、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは仕入税額相当額の50%分、仕入税額控除が可能となります。
〇担当者コラム
インボイス方式の導入は、免税事業者に対し、このまま免税事業者を継続するか課税事業者となるか大きな選択を迫ることとなります。適格請求書が発行できないとなれば、免税事業者との取引を敬遠する業者が出てくることが予想されます。国は、免税事業者が自主的に課税事業者を選択することを見込んでおり、年間3,500億円以上と言われる益税部分の回収を進めようとしています。
一方で課税事業者側も、請求書の保存・整理について今以上に気をつかわなければなりません。請求書に記載されているインボイス番号が正式なものかどうか、仕入側で1件ずつネットで検索して確認する必要があるとも意見されており、消費税に費やす事務量が一層増加してしまうのではと懸念しています。
コメント