Break Time No.71 インボイス制度 ~売主負担の振込手数料について~(令和4年8月10日)

Break Time

令和4年8月10日

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インボイス制度 ~売主負担の振込手数料について~

 令和5年10月1日からのインボイス制度開始に向けて、皆さん準備を進められている事だと思います。登録が完了している会社や、得意先、仕入先のインボイス番号の確認を始めている会社も多くあるようです。今回は質問をいただいた「売主負担の振込手数料」の扱いについて税務通信より抜粋してお伝えします。(売り手の立場で記載してあります)

〇売主負担の振込手数料とは?インボイスが必要に?

 実務でよく起こる、「事前に差し引かれることを契約や口約束で予期していなかった売手負担の振込手数料」や、入金された金額を見てから「請求金額と違う。きっと振込手数料だ」と判断するというものの事を言います。このような取引については差額を支払手数料、もしくは売上の値引きとして処理をしていると思います。インボイス制度下で、これらを税額控除しようとすると対応するインボイスが必要になります。

〇売上げに係る対価の返還等で処理する場合

 売上げに係る対価の返還等で処理をする場合,返還インボイスの交付義務が発生してしまいます。値引きされたにも関わらず返還インボイスを渡す必要があるという泣きっ面に蜂の状態です。簡素な対応として、「領収の確認を相手に連絡するとして,以下のような文面によるメールを送付して保存する方法」が税務通信に紹介されています。

(メール文面)

〇月〇日付の請求に関して□月□日に19,120円のお振込みを確認いたしました。
 なお,請求書記載の20,000円との差額880円(消費税10%)については,振込手数料相当額として〇〇の価格からの値引きとします。

 上記メールの保存と、帳簿の保存をする事で対応が可能なようです。

〇従来どおり「支払手数料」で処理する場合

 買手が金融機関からのインボイスを保存することを前提とした場合には,売手は立替金精算書を買手から受け取り,これを保存することで,仕入税額控除の適用が受けられることとなります。また,原則どおり,金融機関からのインボイスと立替金精算書を買手から受け取り,これを保存することでも仕入税額控除の適用が可能です。ただ、ATMを使って振り込まれた場合は,インボイスの交付がありませんので、この場合は立替金清算書は不要となり、売り手側は帳簿への記帳も踏まえ、振込が行われた金融機関の名称等を把握する必要があります。いずれにしても実務での対応は非常に煩雑になりそうです。

〇取引を見直してみる

 「事前合意なしに、請求額より少ない金額を支払う」という取引は昔からある商慣習のようで、インボイス制度を機にこの慣習を見直す動きもあるようです。

「下請法の知っておきたい豆知識4」で検索いただき、内容を確認頂ければ幸いです。


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