令和3年5月28日
本サイトの情報は、正確であるよう努めておりますが、万が一、情報が不正確であったことによる損害について、一切の責任を負いかねます。
土地の相続登記 義務化へ
令和3年2月法制審議会にて、相続登記の義務化などを盛り込んだ民法と不動産登記法の改正要綱が上川法務大臣に答申されました。政府は令和5年度改正を目指しているそうです。今回は、この改正案について簡単に記載したいと思います。
<なぜ相続登記の義務化を目指すのか?>
現在、日本国内の所在者不明の土地の広さは410万ヘクタールと言われています。これは、日本国土の約20%を占め、社会問題となっています。所有者不明の土地が多くなった原因の約7割が「相続登記の放置」であるため、国が登記の義務化によって、当問題の解決に結びつけたいと考えています。
現行法では、相続登記について登記の期限は設けられておらず、登記を放置していても罰則はありません。相続税の申告のような期限がなければ、放置または後回しになってしまうのは想像がつきます。そのうちに、二次相続、三次相続が発生し、相続関係者がどんどん増えて収集がつかなくなり、結果として所有者不明の土地が増えてしまったわけです。
<具体的な改正案の中身は?>
1,相続登記の義務化
亡くなった被相続人名義不動産について、相続人は自身が相続したことを知った時から3年以内に相続登記をしなければならなくなります。正当な理由なく相続登記を怠った場合は10万円以下の過料が科される予定です。
2,遺産分割協議の期限設定
遺産分割協議の期限を相続開始から10年と定め、10年経過後も遺産分割協議が未了の場合、原則として法定相続分に従って分割することになります。即ち、特別受益や寄与分に関しては考慮できなくなります。
3,相続人申告登記(仮称)の創設
遺産分割協議がまとまらず速やかに相続登記ができない場合、法務局に対して相続人であることを申告すれば相続登記をする義務を免れることができます。この場合、法務局が申告した相続人の住所、氏名などを登記簿に記録します。その後、遺産分割協議がまとまると、その日から3年以内に登記しなければなりません。
4,法務局にて死亡者名義の不動産一覧を発行
現在も、市町村役場で名寄帳を取得することができますが、名寄帳には私道など固定資産税が課税されていない土地の記載が漏れているケースがあります。しかし、法改正後は法務局で死亡者名義の不動産一覧を発行してもらえるようになるため、相続関係の調査時間が短縮されます。
コメント