令和3年5月14日
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心の口座?メンタルアカウンティングとは
皆様は預金口座をいくつもっていますか?日本統計センターの調査によると日本人の平均口座保有数は3.5口座だそうです(日本統計センター「金融機関の利用に関する調査結果の概要」、2011)。
近年、銀行口座とは別に「心の口座(メンタルアカウンティング)」が注目を集めています。「心の口座」は行動経済学で研究されている分野で、人々の消費行動や損得勘定を解明しようとする試みの一つです。
一つ例をあげてみましょう。普段あなたはチェーン店で300円のコーヒーを飲んでいるとします。A:たまたま行きつけの店が休業日で他店舗で600円のコーヒーを買ったとき。B:旅先で600円のコーヒーを買ったとき。どちらが割高感を持つでしょうか。Aの方が割高と感じる方の方が多いのではないでしょうか。支出している費用は同じ600円なのに、なぜ受け取る感情が異なるのでしょうか。これはAの費用が「生活費」口座から出ていて、Bの費用が「娯楽費」口座から出ているからと考えられます。
人々はお金の用途や状況に応じて無意識のうちに費用を各「心の口座」に振り分けています。上記の例では「生活費」口座の中でコーヒーは300円と予算づけられているのに対し、600円の支出は予算超過となるため割高に感じ、「娯楽費」口座では旅費予算の中での600円は予算内におさまっているため割安に感じると説明できます。
もう一例考えてみましょう。あなたは予算10万円でPCを買いに家電量販店に来ました。(PCを買うと決心した時点で、あなたの心の口座の中には「PC」口座が開かれています。)家電量販店に入ると、目的のPCの他に、ケーブル類やマウスなど他の関連商品なども欲しくなり、結局10万円のPCと2万円の周辺機器の計12万円を支払っていました。結果からみると予算を2万円オーバーしていますが、このような時に損をしたと考える人は少数だと思います。では、なぜこのような事態となってしまうのでしょうか。それは当初予定していた「PC」口座とは別に「周辺機器」口座が開設され、マウス等の費用は「周辺機器」口座から支払われたと考えるからです。
「心の口座」の開設自体は支出と予算を把握するための手段としては悪くありません。しかし、無駄遣いの多い方には「心の口座」の開設数が多いという特徴があります。個別の物品ごとに「口座」を開設し、費用を分散することで購入への心理的負担を減らしているためです。無駄遣いを減らしたい方は、なるべく「心の口座」の新規開設を控え、「自由に使えるお金」口座などの総合口座の予算を切り崩して費用を捻出しているという意識を持ってみるのもいいかもしれません。
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