令和3年8月31日
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カーボンプライシングについて
8月27日に環境省は、令和4年度の税制改正で、地球温暖化対策を強化するため、二酸化炭素の排出量に応じて課税する「炭素税」の本格導入を要望する方針を固めました。炭素税は二酸化炭素に課金して排出削減を促す「カーボンプライシング」の代表的な手法の一つです。
今回はカーボンプライシングについてお伝えします。
〇カーボンプライシングとは
「カーボンプライシング」は、日本語では「炭素の価格付け」などと呼ばれ、二酸化炭素を排出した量に応じて、企業や家庭に金銭的なコストを負担してもらう仕組みです。
具体的には
「炭素税」…企業などに対し二酸化炭素の排出量に応じて課税。二酸化炭素は実際には計測できないので、石炭・石油・天然ガスなどの消費量に応じて課税される。
「排出量取引制度」…この制度では企業などが排出できる二酸化炭素の上限が決められる。上限を超える企業は、上限に達していない企業からお金を払って必要な分を買い取る。
等があります。ほかにも「炭素国境調整措置」と呼ばれる制度も検討されています。これは輸入品に対して、その製品が作られた際に出た二酸化炭素の量に応じて課税するもので、温暖化対策が十分でない国に対し、対策を促す効果が期待されます。
〇導入によるメリット、デメリット
メリット
・企業や人々の行動・お金の流れが変わり、排出削減に頑張る企業や個人の努力が報われることで、脱炭素社会への移行が促進される効果が生まれる。
・産業構造や経済社会の変革を通じ、経済成長にも資する可能性が期待される。
デメリット
・産業の国際競争力に悪影響を及ぼす
・カーボンプライシングのない他国に産業とCO2排出が移転(炭素リーケージ)し、意味がない
・脱炭素のために企業の投資や研究開発の原資が奪われる
といった懸念が示されています。
(出典:カーボンプライシング(炭素への価格付け)の全体像|環境省)
〇まとめ
カーボンプライシングをめぐる議論には長い歴史があり、議論でメリット、デメリットは出尽くしているそうです。経済産業省や経済界は負担増への警戒感から慎重な姿勢を示していますが、今後、年末にかけて課税の是非や水準をめぐる調整が本格化するようなので、動向から目が離せませんね。
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