Break Time No.52 労働分配率を用いた管理の必要性(令和3年11月1日)

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令和3年11月1日

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労働分配率を用いた管理の必要性

 会社の業績が好調なうちは、売上を伸ばせば利益率の低下や人件費の増加をカバーできるかもしれません。しかし、業績が下降傾向に転じると、人件費が収益を圧迫し経営危機に陥る可能性があります。今回は、利益と人件費を用いた経営指標である労働分配率について簡単に記載します。

〇労働分配率とは?

 企業において生産された付加価値のうち、どれだけが労働者に還元されているかを示す割合になります。従って、以下のような計算式となります。

 「労働分配率 = 人件費 ÷ 付加価値」

 付加価値とは会社が営業活動によって設けた利益のことです。この利益とは粗利益(売上総利益、限界利益など)のことです。例えば、売上総利益が5,000万円、人件費が3,000万円であれば労働分配率は60%となります。

〇労働分配率による監視の必要性

 ここで注意したいのが、必ずしも「労働分配率の高い会社=賃金水準の高い会社」ではないという事です。仕事量や企業収益に比べて、従業員数が過剰な場合にも労働分配率はどんどん高くなります。これを見過ごしてしまうと、売上や利益率が低下した時に、危機的状況をまねく可能性があります。労働分配率の増減要因が、売上、利益率、人件費の何になっているか常に監視しておくことが重要です。

〇労働分配率の適正値とは?改善方法は?

 結論から言うと、労働分配率は一律に「何%あれば適正」と言えるものではありません。企業規模や業種によっても、適正な労働分配率は違ってきます。

 一つ言えるのは、自社と、自社に似た企業規模や同業の会社の労働分配率を比較してみることが大切だという事です。経済産業省の「企業活動基本調査」では産業別の労働分配率を、財務省の「法人企業統計年報」では資本金規模別の労働分配率をそれぞれ確認することができます。

 同業他社に比べて労働分配率が高ければ、自社の社員は他社に比べ、賃金に見合った働きをしていない可能性があり、その場合、会社として「人的資源を十分に活かせていない」ということにつながります。  労働分配率を改善するためには、会社として適正と思われる人件費総額を設定することや、付加価値の高い商品・サービスの開発を行い収益構造を改善していくことが重要です。また、社員のひとりひとりが、自分の「労働時間」が「稼ぐこと(利益)」に直結する時間になっているか常に意識する組織風土が構築できれば、生産性の向上につながり労働分配率も確実に改善されていきます。


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