令和5年1月30日
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2023年度税制改正大綱 その③
前回、前々回に引き続き、2023年税制改正大綱から、今回は消費税法についてお伝えします。消費税の改正では主にインボイス制度の負担軽減措置が盛り込まれています。
〇少額な変換インボイスの交付義務免除(対象:全事業者・恒久措置)
これまで公表されていたインボイス制度の内容では、振込手数料相当額を差し引いた金額が入金され、振込手数料相当額について値引き処理をする場合は返還インボイスを交付する必要がありました。今回の税制改正では、事業者の事務負担への配慮から、一定の要件を満たすことで税込価額1万円未満の値引きについては返還インボイスの交付義務が免除されることとなりました。
〇2割特例(対象:小規模事業者・3年間の時限措置)
これまで免税事業者であったものがインボイス発行事業者として課税事業者となる場合、事業者の納税額を売上税額の2割とする特例が創設されます。
ただし、3年間の時限措置となっているため、現状では令和9年以降の事業年度では本特例が適用されなくなることに注意が必要です。
また、課税売上高が1千万円以下の事業者であっても、令和5年10月1日より前から「課税事業者選択届出書」を提出している場合は本特例の対象外となります。すでに「課税事業者選択届出書」を提出している事業者であっても、令和5年度中に「課税事業者選択不適用届出書」を提出することで本特例を適用できるようになります。
〇少額特例(対象:課税売上高1億円以下の事業者・6年間の時限措置)
これまでの消費税制度では3万円未満の少額取引については帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能でした。インボイス制度でも同様に税込1万円未満の課税仕入について、インボイスの保存を不要とし、帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能となりました。
ただし、本特例が適用されるのは基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者となるため、適用対象外の事業者については1万円未満の取引についてもインボイスの保存が必要となります。また、こちらも6年間の時限措置となっているため、令和11年9月30日以降の取引については、全事業者についてインボイスの保存が必要となります。
〇担当者コラム
2023年に入り、とうとうインボイス制度開始が迫ってきました。
今回の税制改正の緩和措置により事業者の負担が幾分かは減少したことかと思います。ただ、条件付きや期限付きの特例も多いため、現時点で特例に適用する事業者であっても、ゆくゆくはインボイスへの対応が必要となるかもしれません。
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