NEWS LETTER No.12 (令和2年10月09日)

法人税務・会計

令和2年10月09日

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⑴ 発行者コラム

 前回は休日に井戸を掘っていたのですが、地層に礫層があって掘り進めなくなり場所も変えましたが、同様に礫層に当たり泣く泣く断念しました。複数の方に打ち抜き井戸について聞いていただいたので非常に残念です。地層に礫層がなく土が柔らかければどんどん掘っていけます。ごく小さい井戸でも工事をお願いしたら20万円はかかるので手(汗と涙と筋肉)で掘る価値(?)はあると思います。

 ただ諦めずに単管パイプとコンパネ等使って貯水槽作りました。現在97,200L水が溜まっています。私は水路からエンジンポンプで吸い上げていますが屋根と樋があればすぐ水が溜まると思います。水の重さは10t弱あるはずですが、側面にかかる重さは単管とコンパネで耐えられます。仕事で体を動かさないので良い運動になりました。

⑵ M&Aの仲介手数料・利用料

 最近、この周辺でも将来不安や後継者不在により会社を売却することを検討、はたまた買収してシナジーでもっと会社を成長させたい、現業種の将来性が危ういため今のうちに異業種に転進したい、などM&Aの話を聞くことが多くなりましたので、大手のM&A仲介業者の手数料やM&Aプラットフォームの利用料を、聞いたり調べてみました。利益が溜まっている会社は廃業するより株式譲渡したほうが税負担が少なくなることが多いです。

 調べたことがあり料金を見て諦めたという方もいらっしゃると思いますが、小さい案件ではM&Aプラットフォームがまだまだ現実的かなという印象です。

 現在、M&A仲介業者の大手トップ3は、㈱日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ㈱、㈱ストライクであり、全て上場企業です。譲渡価格が1億~100億円程度をメインに取り扱っているようで、それ以上の案件は野村證券などの大手証券会社が取り扱っていることが多いようです。1億円未満はM&Aプラットフォームや地銀、公的機関である事業引継ぎ支援センターが多いのかなと思います。ちなみに海外資本とのM&A仲介は㈱GCAが強いようです。

 仲介手数料が高い業者はその分高く売れる先を多く探してこれるということを付加価値にしているため一概に手数料の多寡で良さは決められないとは思います。手数料はすごいですが聞くところによるとこの前、買手が見つからなかった離島の売上2億程度の建設会社の買手を全国から探してきて成約した事例があったらしいです。

M&A仲介業者トップ3(M&A仲介専業)

ちなみに仲介業者に対する交渉力で仲介手数料は大きく変わります。法的な規制はないため結局のところ最終的には言い値の世界です。

日本M&AセンターM&Aキャピタルパートナーズストライク
着手金譲渡企業、譲受企業ともに規模により:100~500万円なし譲渡企業、譲受企業ともに規模により:100~300万円
中間報酬譲受企業のみ成功報酬の20%(最低500万円)成功報酬の10%不明
日本M&AセンターM&Aキャピタルパートナーズストライク
成功報酬レーマン方式(譲渡企業の時価総資産額・営業権含む)譲渡企業と譲受企業で異なるが、譲渡企業のみ記載 5億円以下の部分:5% 5億円超10億円の部分:4% 10億円超50億円の部分:3% 50億円超100億円の部分:2% 100億円超の部分:1%レーマン方式(負債を含めず株式価値をベース) 5億円以下の部分:5% 5億円超10億円の部分:4% 10億円超50億円の部分:3% 50億円超100億円の部分:2% 100億円超の部分:1%レーマン方式(譲渡企業:譲渡金額をベースに、譲受企業:時価総資産をベース) 5億円以下の部分:5% 5億円超10億円の部分:4% 10億円超50億円の部分:3% 50億円超100億円の部分:2% 100億円超の部分:1%
最低報酬(税抜)2,000万円2,500万円1,000万円

 例えば会社の時価総資産が10億円(売却額ではない)だったら、5億×5%+(10億-5億)×4%で4,500万円が仲介手数料ということですね。最低報酬も設定されていて、売るにも買うにも成約するには最低1,000~2,500万円(税抜)は必ず手数料を仲介業者に支払うことになります。

しかももちろん仲介業者への仲介料支払だけでは、M&Aはできません。

必ず売手買手が見つかるわけでもなく途中でやめると着手金がパーになります。

M&Aプラットフォーム

 売買額が1億円を切るような小規模なM&AはM&Aプラットフォームというネットでのマッチングを狙うのが現実的で良いかもしれません。担当者が付くわけではなくネットで自分で探して交渉する形です。利用者数トップ3のM&Aプラットフォームの利用料を調べました。

バトンズ(Batonz)トランビ(TRANBI)ビズリーチ・サクシード
ユーザー数73,760名68,237名法人会員制のため不明 売り手登録数 2,634 買い手企業数 5,614
累計M&A案件数7,8666,424不明
利用料売手:無料 買手:成約価額の2% 売手:無料 買手:成約価額の3%売手:無料 買手:成約価額の1.5~2%(プランにより月額0~198,000円利用料必要))
最低利用料(成約時)売手:なし、買手:最低25万円売手:なし、買手:最低30万円売手:なし、買手:最低150~200万円

 M&A仲介業者とM&Aプラットフォームの料金の差がめちゃくちゃありますが、仲介で間に入ってくれる人がいないためすべて自分で相手と交渉するようになります。そのため専門家に支援してもらうためにアドバイザリー契約をしている案件も多いようです。バトンズのHP(よくある質問)によると、「総合M&Aアドバイザー(M&A全工程の委託)のバトンズの相場としては、成功報酬型で最低報酬200万円~という方が多くなっています。」と記載されておりこれもまた言い値の世界です。300~500万円程度になることが聞く限り多いようです。

 

 M&A仲介業者に依頼しても、あくまで「仲介=中立」が基本ですから、自分のアドバイザーとしてはFA(ファイナンシャルアドバイザー)を付けることもあります。この手数料も案件により数百万~数億円になります。その他、買収先監査のためDD(デューデリジェンス)も買手が行いますがこれも買手が別途各専門家への手数料を支払って行います。

 利用料金等を考えると、M&Aプラットフォームを利用してマッチングを狙うのが小規模の場合には現実的です。

 売手の利用料が無料なことが多いことからわかるように、M&Aプラットフォームでは、売り手市場です。大手の会社も常に自社とのシナジーが得れる買収先を探しているからです。(もちろん、売り手市場ですが魅力がない事業はなかなか売れないと思います)

 なお、地銀や信金等もM&A仲介をやっていますが、大手M&A仲介業者よりは安いですがしっかり仲介手数料を取ります。(私自身数年前、上記のようなレーマン方式(時価総資産に対して)の地銀を見たことがあります。最低報酬はなかったような気はしますが)

事業引継ぎ支援センター

 各県に設置されており、公が無料で相談を行っています。無料ですから、良い相手が見つかるかはかなり微妙という話も聞きます。相談の結果、専門家の支援を受けたり、登録民間支援機関を利用する場合にはその費用は有料です。

経営資源引継ぎ補助金

 中小企業のM&A等の経費に対して中小企業庁の補助金があるようです。

事業再編・事業統合等に伴う中小企業者の経営資源の引継ぎに要する経費の一部を補助する事業

補助対象経費の3分の2、補助​:下限50万円~上限100or200万円(廃業費用がある場合上限650万円) https://k-shigen.go.jp/

⑶ 年末調整手続の電子化と年調ソフト

 令和2年分の年末調整から、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等特別控除に係る控除証明書等について、勤務先へ電子データにより提供できるようになりました。

 また、各従業員に、国税庁から無償提供されている年調ソフトを利用して入力してもらえば、利用している給与計算システムへの取込が可能(利用しているソフトが対応しているかによる)になり、年調業務の効率化が図れます。下記パターンAかCをまずは目指すのが良いのではないかと思います。

年調ソフトは、国税庁のHPにてすでに公表されています。

年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)

年末調整手続の電子化に向けた取組について|国税庁

パターンCを利用する場合、従業員の年末調整申告書を電子データで受領するため,事前に税務署へ「電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し,承認を受ける必要がある点に注意です。

[手続名]源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/6089_01.htm


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