令和3年2月26日
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日本の法体系を理解する
日常生活の中で、○○法や××条例といった法律用語をよく耳にします。日本では憲法を頂点として法律の優先順位(法体系)が決められています。今回は、日本の法体系について、効力の強い順に簡単に記載していきたいと思います。
①日本国憲法
「国の最高法規」であり、以下、国内全ての法令は憲法に違反できません。
②条約(核兵器禁止条約など)
国家または国際組織の中で締結される国際的な合意のことをいいます。条約はもともと国際法の位置づけですが、公布されることで国内法の効力が発生します。
③法律(民法、税法、会社法、医療法、社会福祉法など)
憲法で定められている方法により、国会の議決を経て制定される国の規範のことです。私たちが選挙で選んだ国会議員が法律を考案しています。
④政令(税法施行令、医療法施行令、社会福祉法施行令など)
内閣が制定する命令であり、法律では定めていない細部を補うための事項を定めています。
⑤省令(税法施行規則、医療法施行規則、社会福祉法施行規則など)
各省の大臣が制定する命令であり、法律や政令の規定に基づいて、さらに細部となる事項を定めています。
⑥条例(個人情報保護条例、迷惑防止条例など)
地方自治体が定める地方の規範であり、政令・省令等と同じく法律の範囲内でしか定めることができません。
⑦告示(国税庁告示、厚生労働省告示など)
国や地方公共団体が、国民が知っておくべき必要な事項を公示する行為・形式のことをいいます。従って、告示以下は法令とはなりません。
⑧通達・通知(税法基本通達、厚生労働省通知など)
通達とは、各長官が所轄の機関や職員に対し、命令・示達する方法であり、通知とは、特定人または不特定多数の人に対して特定の事項を伝える行為のことです。
〇担当者コラム
業務上、私も税法や会社法について調べる機会がよくあります。税法を考える時に、法律⇒施行令⇒施行規則と上から順に追うケースもある中、判断材料として一番使用することが多いのが実は「通達」になります。
税法の基本通達には、その法律の考え方や取り扱い方が具体的に示されており、「どうしてそのように取り扱うことになったか」を記載した逐条解説まで設けられています。税務署の調査官が通達を教科書代わりとしていたり、実際の税務行政も全て通達に基づいて執行されているなど、法令でないとは言え、実務上は非常に重要な位置づけとなっています。
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