令和3年7月16日
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G20、法人課税で「歴史的合意」
7月10日イタリアで開かれたG20では、法人税への最低税率設定と巨大IT企業を主な対象にしたデジタル課税の導入に合意しました。あくまでも決定したというわけでなく、今後は「10月の最終合意」を目指して制度設計を詰める事になります。今回はこの「歴史的合意」についてお伝えします。
〇法人税に「15%以上」の最低税率を設ける
1980年代以降、各国が企業誘致を掲げて法人税率を引き下げてきました。1980年に40.11%だった世界の平均税率が、昨年は23.85%まで低下しているようです。税率の引き下げは必ずしも企業活動の活性化による税収増には結び付かなかった事から、先進国の消耗戦に終わってしまいました。ですから今回、法人税率を「最低15%」とする新ルールを設けるのはこうした消耗戦に歯止めをかけるという意味があります。また、いわゆるタックスヘイブン(租税回避地)に近い低税率国は、今回目指す最低15%を下回る税率に設定していますので、見直しが実現すれば法人課税の歴史的な転換点になるといえるでしょう。
〇デジタル課税の導入
現行の国際ルールでは国内に支店や工場などの物理的な拠点がない外国企業からは、原則として課税することはできません。たとえば、日本に消費者やユーザーがいて日本で売上や利益を上げている企業があっても、オフィスがアメリカにあるなら日本はその企業に対して税金を支払わせることができないのです。そのため経済の発展に税制が追いついていないとの指摘がされていました。そこで新ルールとして、ある国や地域で一定の売上高があれば課税できるようにする「デジタル課税」を導入しようというわけです。対象となる企業は、売上高200億ユーロ(約2兆6000億円)利益率10%を超える世界の多国籍企業です。(全世界で100社程度が該当)内容としては、利益率10%までは従来通りの課税方法を適用する一方で利益率10%を超える利益に対しては「超過利益」とみなしてそのうちの20%~30%について、売上高に応じて市場国で配分するというものとなっています。
〇担当者コラム
主に「GAFA」(Google,Apple,Facebook,Amazon)をはじめとする巨大IT企業の税逃れを防ぐための合意でした。 「GAFA」がどのように租税回避をしていたか調べてみていると「ダブルアイリッシュ・ウィズ・ア・ダッチサンドイッチ」なる節税スキームが有名で、二つのアイルランド法人でオランダ法人を挟む形で税金の支払いを少なくする方法のようです。(詳細は割愛させていただきます)
最低税率の設定とデジタル課税は2023年の導入を目指しているようなので、実現して税のゆがみを解消していただきたいですね。
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