令和5年1月16日
本サイトの情報は、正確であるよう努めておりますが、万が一、情報が不正確であったことによる損害について、一切の責任を負いかねます。
2023年度税制改正大綱 その②
本年もどうぞよろしくお願いいたします。2023年税制改正大綱から、今回は相続税・贈与税の改正についてお伝えします。
〇生前贈与加算の対象が3年から7年へ拡張されます
生前贈与加算とは、被相続人から相続人が贈与を受けていた場合、相続人の相続財産に贈与額を加算する規定のことです。現行は、被相続人の死亡日(相続発生日)から「3年以内」の贈与分が加算対象となっていますが、2024年1月1日以降の贈与に関しては、「7年以内」へ改正されます。なお、新たに加算対象となった「3年超7年以内の贈与分」については、100万円まで生前贈与加算から差し引くことが可能です。
<設例>
被相続人A(相続発生日2029年1月1日)は、相続人である息子Bに毎年以下の 通り現金を贈与していた。この場合の生前贈与加算額はどうなりますか?
①2023年1月2日贈与 現金100万円 ← 改正前の贈与分
②2024年1月2日贈与 現金100万円 ← 改正後の贈与分
③2025年1月2日贈与 現金100万円 ← 改正後の贈与分
④2026年1月2日贈与 現金100万円 ← 改正後の贈与分
⑤2027年1月2日贈与 現金100万円 ← 改正後の贈与分
⑥2028年1月2日贈与 現金100万円 ← 改正後の贈与分
現行の考え方)
④から⑥の3年分が加算対象 ⇒ 300万円
改正後の考え方)
②から⑦の5年分※が加算対象、ただし、3年超7年以内の贈与分(②と③の合計)から最大100万円控除が可能 ⇒ 500万円ー100万円=400万円
※注)①(2023年12月31日以前の贈与)は改正前の贈与分であるため3年超さかのぼっての加算は生じません。設例から分かるように、2024年1月1日から7年経過した2031年1月以降の相続から、まるまる過去7年分加算されることとなります。
〇相続時精算課税制度に110万円の非課税枠が新設されます
相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。選択後、2,500万円までの贈与に対しては贈与税は課されませんが、「相続時に精算する」という字のとおり、相続発生時に相続財産に加算される制度です。
暦年課税との選択適用となるため、現行は、選択後の非課税枠はありませんでしたが、2024年1月1日以降の贈与については、毎年110万円まで非課税と認められる形に改正されます。したがって、年間110万円以内の贈与分に関しては贈与税の申告不要かつ相続財産にも加算されないこととなります。
コメント