NEWS LETTER No.2 (平成30年12月11日)

法人税務・会計

平成30年12月11日

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⑴ 発行者コラム
 牛肉とかイクラってイイですよね。12月といえば、ふるさと納税の季節。返礼品を正月休みに食すというのが我が家の恒例となっています。

今年に入って、返礼品の還元率に制限がかかり始め、11月には還元率3割以上の自治体が174団体まで減っているんだそうです。

都城市の牛肉とかすごかったですもん。寄付1万円でA5牛肉1kgとか。ギフトカードなどの金券(!?)やダイソン(!?)なんかの高額家電なんかもありました。確かに、制度の趣旨からすると、変な制度ですよね。

ただ、米などの生活必需品も返礼品の中にはあるので、やらないとある意味損する。自分の居住地がふるさとの場合、ふるさと納税すると何ももらえない(ところが多い)。自治体によって返礼品の還元率が異なる。そりゃ自分のふるさとに関係ないところに多く寄付が行くってものです。

返礼品がなくても、例えば、尾道市在住の人が尾道市に寄付すると、どうやら尾道市の税収が増えるらしいですよ!念のため。(地方交付金の関係?)

また、広島県の県教育委員会、広島県の国公立私立の学校(小学校~高校)にもふるさと納税で寄付可能です。広島県の母校や地元の学校に寄付してみてはいかがでしょうか?個別に学校を指定することもできます。(後述)

最近立って仕事しています。スタンディングデスクです。集中できるかといえば…ですが、あまりに運動しないので私の足腰にはちょうど良いです。最初は筋肉痛になりました!皆さんも立ちませんか?

⑵ ふるさと納税のススメ

ふるさと納税はよく分からない得している気がしないこんなに寄付しても大丈夫だろうか、というお声を聞くので、まとめてみました。

かなり得をする制度だと思います。私は子供のおもちゃ(買うと意外と高い)等を年間自己負担額2,000円でいただいているので、かなり得をしていると感じています。返礼品でもらいたいものが米などの食料品を含めて全くなくて、2,000円の現金支出などしたくない!という方は仕方がないのですが。ただ、所得税はあまり節税方法がないのですよね。

①ふるさと納税のシュミレーション

例えば、平成30年(1~12月)に、以下の条件の人がいるとします。

45歳役員報酬月90万円(賞与無し年収見込1,080万円)、社会保険料は概ね見込1,319,928円。専業主婦の奥さんの扶養有。扶養控除はなし。その他の保険料控除などはなし。その他不動産所得や株式譲渡所得などはなし。

この人が、平成30年1月~12月の間に、ふるさと納税をしました。ふるさと納税額の年額3パターン示してみます。

パターンA.ふるさと納税額(寄付額)(平成301~12)B. 所得税減税額(平成301~12月分)C. 住民税減税額(平成301~12月分)D.自己負担額(A-B-C
100,00020,10078,0001,900
191,00038,60090,3001,900
300,00060,900161,80077,300

パターン①と②は自己負担額が2,000円(計算端数で1,900円に)なっています。ある一定額を超えると、住民税の減税額があまり増えなくなります。パターン③は結果、「本当の寄付」となり、77,300円を本当に各自治体に寄付したことになります。(自己負担額2,000円は税額の軽減を受けれない額ということです)

②いくら得したか?のシュミレーション(返礼率を30%と仮定)

パターンふるさと納税額(寄付額)⑴もらえる返礼品の価値⑵自己負担額お得額(⑴⑵)
100,00030,0001,90028,100
191,00057,3001,90055,400
300,00090,00077,30012,700

年間のふるさと納税の額がある一定額を超えると、得をする額が減少しますパターン③だと返礼品はもらえるにしろ77,300円もの現金支出が起きることになります。これは避けたい。(返礼率(返礼品の寄付額に対する価格)は3割としていますが、これを超えている自治体もあります。)

現金支出(自己負担額)2,000円になり、最も有利なふるさと納税額はいくらでしょうか?どうしたら計算できるでしょうか?(ちなみにパターン②が最も有利なふるさと納税額となっています。)

それは、計算サイトを使うことです(他力本願)。

ふるさと納税の控除限度額計算サイトというサイトがあります。

ふるさと納税の控除限度額計算ソフト - 無料オンラインソフト | 最速資産運用
寄附して得する「ふるさと納税」の目安(控除限度額)を簡単計算シミュレーション。実質2000円の負担で全国の特産品がもらえます。株式投資やFX等の分離課税にも対応。資産を貯める・殖やす・守るコツをFP1級が解説。利用料は無料、利用制限も一切な...

(計算誤りがあったとしても弊所は責任を負いかねます。私個人はこれを利用しています。)

給与のほかに不動産所得や株の譲渡所得などがある方は、他の計算サイトだと計算できないことが多いです。

このサイトは、様々な所得の入力欄、所得控除の入力欄があり、寄付限度額を簡単に計算してくれます。

ただ、ご自身で年間所得を見積もった上で入力することになるため、このサイトで計算された限度額ギリギリのふるさと納税を行うことはやめたほうがいいと思います。(平成30年中にふるさと納税を行うと、平成30年分の所得税・住民税が減額されるため。あくまで所得を見積もり、これくらいだったら大丈夫だろうという見込みでふるさと納税を行うことになる。)

不動産所得などがある人は特に、経費の発生などの見積もりは難しい面があり、年間の確定所得を期中に見積もるのは難しいからです。

また、医療費控除や扶養控除など想定していない所得控除の発生や所得控除の見落としがあるかもしれません。

今年で言えば、豪雨災害で被災された方は、雑損控除という所得控除が発生する可能性があります。これを期中に想定するのは不可能です。

さらに、サイトに計算の誤りがあるかもしれませんし、住民税は各県市町村によって微妙に異なります。

サイトで算定された額を参考にして、限度額より少なめに寄付するのがポイントになるかと思います。

そして、年間所得(収入と控除)は期中はどうなるか分からないので、寄付額は期中は少額にしておき、12月後半に平成30年のおおよその年間所得が判明した段階で、一定額まで寄付をする、というのが安全です。

③得する額が実質5万円程度か…と思われた方へ

先ほどの例の人は、年収が1,080万円でした。年収が、2,000万円、3,000万円、5,000万円、1億円となったらどうでしょうか?いくらお得になるのでしょうか?限度額までふるさと納税をした場合のだいたいのお得額を出します。

年収(万円)ふるさと納税額限度額⑴もらえる返礼品の価値⑵自己負担額お得額(⑴⑵)
1,080191,00057,3002,00055,300
2,000560,000168,0002,000166,000
3,0001,047,000314,1002,000312,100
5,0002,074,000622,2002,000620,200
10,0004,337,0001,301,1002,0001,299,100

そうなんです。年収の多い方は加速度的に、限度額が上昇していきます。払っている税金が多いためです。

稼ぎがあってお忙しい方は、ご家族に返礼品を選んでもらえば良いと思いませんか?(もちろんふるさと納税を行う名義・支払者は本人さんですよ)

牛肉、イクラ、うなぎ、米、酒、果物、自転車、おもちゃ…いろいろあります。

このお得額が毎年あるわけです。年収1,080万円の人で言えば、57,300円分のお米をもらえば、お米買わなくて済みますよね(そこまでお米いらないですが笑)。

ふるさと納税は当然に遡ってできません。やらないと損する、そんな制度となっています。

ちなみに、返礼品が年間50万円以上になると一時所得として所得税課税の対象となりますので、お気を付けください。

④でも確定申告って面倒なんでしょ?

ふるさと納税は、確定申告が必要です。(他にも手はありますが、確定申告が一番わかりやすいので説明省略)

 

もともと確定申告をされている方は、寄付金控除という欄に追加で入力するだけなので非常に簡単です。

難しいのは、

1万円ずつしたふるさと納税の寄附金受領証明書を集計すること(!?)です。

寄附金受領証明書は、ふるさと納税をした自治体から郵送で送られてきます。

この集計を漏らしてしまうと痛いことになります。実際110万円支出したのに、証明書が100万円分しかなかった、集計を漏らしたために、10万円分の控除が受けれなくなります。カード払をされた方は、しっかりとカードの明細を保管しておきましょう。

なお、1口数十万円の返礼品もありますので、1口で高額の寄付を行って返礼品と交換すれば証明書の枚数も少なくなり漏れる可能性は減ります。集計がメンドクサイ人も良いと思います。

ちなみにですが、

弊所に確定申告を依頼される方は、集計漏れがないかどうか確認する意味でも、弊所も細心の注意を払ってはいますが集計漏れを生じさせないためにも、エクセルなどに明細を記載の上、寄附金受領証明書をお渡しください。よろしくお願いいたします。

さて、確定申告ですが、国税庁の「確定申告等作成コーナー」が非常に優秀です。http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm

私もこれを使って、確定申告をしています。電子申告をする必要もありません。書面で印刷して、寄附金受領証明書とセットで住所地の管轄税務署に郵送すれば良いのです。

「確定申告等作成コーナー」は視覚的に源泉徴収票のどこを転記入力すれば良いか、非常にわかりやすく作ってあります。ふるさと納税をした場合も視覚的にわかりやすく、すぐ入力できるようになっています。分からなければご家族にやってもらいましょう。所得税の知識がなくてもできるように作ってあります

また、確定申告時期に税務署に行けば、入力の仕方を職員が教えてくれます。

⑤ 所得税・住民税減額の確かめ方

ふるさと納税に関する所得税の確定申告は非常に簡単です。見方も簡単です。

所得控除の「寄附金控除」に寄付額-2,000円が載っているかどうか、住民税に関する事項の「寄附金税額控除」「都道府県、市町村分」に寄付額が載っているかどうかだけです。所得税が還付されることが多いため、なんとなく返ってきた感があります。

(寄付額-2,000所得税率(所得により異なる)所得税の還付額(減額)となります。

一方、住民税はしれっしか載っていないし、基本的に還付金として入金されるわけでもないので、返ってきた実感がわきません。しかも、決定通知書には計算過程も載っていません。

来年5月に会社に送付される住民税の決定通知書を見てみましょう。

このうち、「市民税」「県民税」のそれぞれの「税額控除額」がふるさと納税によって減額される金額です(住宅借入金控除などを除く)(下表右上赤枠の中

この市民税と県民税の税額控除額の合計が住民税の減額となります。これに、所得税の減額を足すと、ほぼ(寄付額‐2,000円)となっているはずです

なっていなかったら、確定申告を誤ったか、寄付限度額を超えた寄付をしてしまったかのどちらかの可能性が高いです。確定申告は計算入力誤りであれば更正の請求といって5年間はやり直せますが、寄付はやり直せません。ご注意ください。

まとめると……ふるさと納税は今年1月~12月までに支払っておき、所得税は来年3月に、住民税は来年6月以降1年間をかけて(給与天引減で)返ってくる制度ということです!

⑥学校への寄付(広島県への寄付)

学校への寄付もふるさと納税の範疇です。詳細は省きますが、学校へ直接寄付するより広島県へふるさと納税をして学校を指定するほうが、事務処理がはるかに簡単、かつ、控除税額としても有利なことが多いです。

ふるさと納税の最少自己負担額2,000円は、年内であれば何回寄付しても2,000円のままですから、少し学校への寄付へも振り分けてみてはいかがでしょうか。

ふるさとチョイスという有名なふるさと納税用のサイトから、寄付できます。もちろんカード払が可能です。

広島県へ寄付することになるのですが、寄付する際に、備考欄に寄付する学校を記載すればその記載した学校へ広島県から寄付金が後日振り込まれる仕組みです。

広島県の教育委員会へ寄付してもよいですし、

国立、公立、私立の小学校から高校まで、広島県内の学校を指定することもできます

母校や地元の学校へ寄付をしてみてはいかがでしょうか。

詳しくは、別添パンフレットをご覧ください。

⑦まとめ

1.ふるさと納税額は、自己負担2,000円となる年間限度額があるので、限度額の計算サイトなどを使って、この限度額を超えないように気を付けましょう!

2.この限度額は、その年(今年なら平成30年)の所得によるので、適切に年間所得を見積もって、限度額から足がでるかもしれないギリギリのラインを攻めるのはやめたほうがいいです!

3.期中はそこそこの寄付額にして、年間確定所得が見積りやすい12月後半に最終調整しましょう!安全第一です。

4.限度額の計算サイトは、詳細な条件設定ができ、計算過程が表示さる「ふるさと納税の控除限度額計算ソフト」

http://ma-bank.net/tool/furusato/

がおすすめです!

(計算誤りがあったとしても弊所は責任を負いかねます。念のため。私個人はこれを利用しています。)

5.所得の多さによって加速度的に得をする額が増えます!暦年内・限度額内であれば、何回ふるさと納税をしても年間2,000円の自己負担となります。

6.ふるさと納税の確定申告は国税庁の確定申告等作成コーナーでやれば非常に簡単です!

7.弊所に確定申告をご依頼される方で寄附金受領証明書が多い方は証明書をエクセル等でまとめていただけると大変助かります(控除漏れ防止のため)。

8.ふるさと納税は今年12月までに支払っておき、所得税は来年3月に、住民税は来年6月以降1年間をかけて(給与天引減で)返ってくる制度です!

9.広島県の教育委員会や広島県の各学校へもふるさと納税をすることができます!

お忙しい方は、返礼品をご家族に選んでもらいましょう!もしくは1回当たりの寄付額を多めにして回数(寄附金受領証明書)を減らしましょう。

ふるさとチョイスなどのサイトからクレジットカードで納付できるため、手続きも簡単ですよ。


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